< 日本メダカの世界−メダカとは >
<メダカの分類学的位置>
   Atheriniformes(トウゴロウイワシ目) 
   Cyprinodontoidei(キプリノドン亜目) 
   Adrianichtyoidea(アドリアニクチス上科)
   Oryziatidae(メダカ科)
 [=Oryziidae]
   Oryzias latipes(日本メダカ)

 トウゴロウイワシ目には,トビウオやサンマ,サヨリの仲間などが含まれます。
 キプリノドン亜目には,熱帯魚愛好家の中で表現される”めだか”の仲間が含まれます。
メダカ属の分布
 メダカ属(Oryzias)の仲間は極東アジアから東南アジア(日本,中国,ジャワ,ボルネオ,インド)にわたる広域な地域に分布しています。
 メダカの祖先が地球に出現した頃,東南アジアの地域は陸続きであったと蝶々の本を読んだときに書いてありました。きっとメダカもそのころまでに各地に点在し,海で隔てられてしまったあともそれぞれの生息地で進化を遂げていったのでしょう。
 現在,種々の学説がありますが,メダカ属には14種のメダカが分類されています。(類縁種については「日本メダカの仲間たち」のページをご参照ください。)

メダカの学名
 1842年,シュレーゲルらによってPoecilia latipesとして記載されました。Poeciliaは,熱帯魚界の代表格グッピーなどが属する科です。
 種名の由来は,臀鰭の特徴からlatus幅広いpes足から latipesと命名されたようです。
 その後,Haplochilus,Aplocheilus属等に分類された後,1906年ヨルダンとシュナイダーによってOryzias属が設けられ,Oryzias latipesと分類され現在に至っています。
 属名であるOryziasは,Oryza sativa (”稲の”学名)にちなんでつけられた名前で,稲作地帯に広く分布するメダカの仲間には,ぴったりの属名ではないかと私は思います。

日本メダカの地理的変異
 日本のメダカOryzias latipesは,1種として分類されていますが,同じ日本メダカでありながら鰭のすじの本数やタンパク質レベルで違いがあり,いくつかの地域変異に分類されることがメダカを研究している学者の間で報告されています。
地域変異の区分には様々あるようですが大まかな区分では,
北日本集団 奥羽山脈で隔てられた日本海側からアルプスを経て丹後半島までの日本海側に生息する。
南日本集団 北日本集団以外の日本に分布する集団。
多くの共通な遺伝子を持つがさらにいくつかの変異によって細分化されている。
東日本型,東瀬戸内型,西瀬戸内型,山陰型,北部九州型,有明型,大隅型,薩摩型,琉球型などの小集団に分類される。
東韓集団 朝鮮半島の日本海側から玄界灘側の南部にかけて分布する集団。
中国・西韓集団 朝鮮半島の北西部から中国大陸にかけて広く分布する集団。
この集団のメダカの染色体は上記3集団が48であることと異なり46であることから,亜種Oryzias latipes sinensisとして独立させることがChenらによって提案されている。

 環境庁によって1999年2月に絶滅危惧種に指定され,また以前より各地にメダカの保護・河川への放流が活発になる可能性があるが,上記の地域変異の存在を考慮に入れて運動を進めていかないと,遺伝子レベルで異なるメダカの交雑の片棒を担ぐ結果となり真の自然保護とは異なる結果(生物学的自然破壊)を起こしかねないことは注意していかなければいけないと考えられる。
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